声を使った後のダウンの重要性


発声はスポーツに似ています。
この話題は何度もお伝えしてきました。
そこで、今回は「じゃあ、スポーツというなら、アップとかダウンは必要ないの?」との質問にお答えします。
声楽やオペラなど、テクニックがしっかりしていたり、メソッドが確立していたりする歌唱分野では、アップの重要性は語られ、実践されています。
ただし、声の医学に基づいたものは少なく、単に発声して動きを若干良くしている方法が、ほとんどですね。
中には、アップのし過ぎで、筋肉が疲労を起こし、本番でスタミナが瞬時になくなってしまうケースもよく見受けます。
また、「声帯のストレッチをしましょう」と、ピッチ変動の発声をバンバン行う様子もありますが、実際は、発声している段階で筋肉活動が起こっているため、残念ながら正確な意味でのストレッチにはなり得ません。
例えば、「あなたは、走りながら、ふくらはぎの筋肉をストレッチできますか?」の次元です。
さて、正しいアップはまたの機会にし、ダウンについてお伝えしましょう。
プロ野球でもJリーグでも、練習や試合のあとには必ず、綿密なダウンを行います。
ピッチャーなどは、投球終了直後に、まず氷で肩を冷やし、その後、温めたりストレッチしたりして、体全体も含めてダウンをじっくり敢行しています。
発声も筋肉運動であることは間違いありませんから、やはり適切なダウンが必須なのです。
とくに、長時間または過度な発声練習、オペラ、演劇など。
ダウンの目的は二つ。
一つは、筋疲労を即時回復させ、次に備えること。《スタミナ強化やリカバリー》
二つ目は、フィジカル(身体)とメンタル(精神)の緊張を緩和させる。
そして方法です。
これも状況に応じて、二つのやり方があります。
まずは、舞台やレコーディングの途中でスタミナが切れてきたが、まだまだ声を使わないといけないケースです。
このとき、瞬時に疲労を取り除いて、再び良い声にしなければなりません。
その方法が、極小ピンポイントのアイシングです。
アイスクリッカーやスプーンの柄を凍らせ、正しい場所に数十秒押し当てます。
方法は「最強の効果 喉アイシング」をご覧ください。
また、この投稿時期より研究が進み、『どの筋に作用させると、どの音が良く出るようになる』までも、わかってきました。
ときどき、詳しい場所を教えて欲しいと尋ねられますが、私の研究努力の結晶ゆえ、残念ながら簡単にお教えできません。
次に、舞台や歌唱が完全に終わったあとです。
たいがいは、「お疲れさまぁ~、さあ、打ち上げだ!」と飲食店に直行し、冷たいビールで乾杯。
ここで、喉を思いやらず、ダウンを怠ると、喉の性能を下げることになります。
不摂生が何度も続けば、発声能力や歌唱力も本格的に少しずつ低下してきます。
それを知らないひとは「歳のせいだ・・・」とあきらめ、片付けてしまいます。
さらに、何とかしなければと、力んで過緊張に陥ったり、声帯結節などの音声障害に罹患したりすることもあるでしょう。
最近の調査では、それら過緊張発声が続くことで、声帯萎縮の発症率も上がるのではと考えられています。
そこで、声使用後のダウンの方法です。
アイシングも良いのですが、やはり喉頭ストレッチが効果的です。
「歌い終わったあとに、体操なんてできるかよ~。時間もない。場所もない。疲れているんだよ」とと愚痴らず、疲れを取り除き、美声を維持するためにも実行しましょう。
ダウンの場合は、頚部、喉頭部、3大外喉頭筋、喉頭懸垂機構など、時間をかけずに大きな動き対応すれば十分です。
これらの正しい方法は、日本ボイスアドバイザー協会の集会、喉体操、および、《裏技喉体操》で随時お伝えしています。
さあ、皆さんもアップだけでなく、確かなダウンも行って、素晴らしい声を、末永く手に入れてください。



ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)



※ここでの、アップはウォーミングアップ、ダウンはクールダウンの略です。



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ダウンを怠ると、良い声が奪われるだけでなく、故障もしやすくなります・・・





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-04-26 15:38