ボイストーク With JOY Part6


テレビやラジオで活躍中のグリーンウッド・ジョゼフ (通称 JOY:ジョイ) さんと対談しました。
JOY君は、以前より、当サロンでボイスケア (施術) を受けており、今般、ご許可をいただき、彼のいだく声に関する素朴な疑問を、トーク形式でお答えします。
実際のトークでは、説明不足になった内容を付け加え、編集してアップしました。

JOY君は、非常に優秀な喉 (大きさと形状) をお持ちのタレントさんで、とても素晴らしい声をしています。
歌手でもあります。
本当にセクシーな音色です。
ファンの皆さんに喜んでいただくために、さらに良い声になるよう当サロンでメンテナンスをしているのです。
この先、もっともっと多くの方々に、感動を与えるステキな声になるでしょう!

ますます充実の第6回目です!


JOY
おはようございます、會田先生。

會田茂樹
おはようございます、JOY君。

JOY
今日の施術もよろしくお願いします。
実は、この前、大地真央さんや加藤浩次さんと、喉のケアに関してトークしました。
やはり、芸能界の皆さんは声を大切にしていて、會田先生のアプローチやボイスケアサロン声専用キャンディに興味津々でした。
プレミアム・ブラック・キャンディには食い付いていましたよ(笑)

會田茂樹
ははは、そうですか。
やはり、TVやラジオで活躍するひとは、喉と声は大事な商売道具ですからね。
これまでは、迷信やイメージによる間違った、あるいは、曖昧なケアしか存在しませんでした。
しかし、これからは発声医学に基づいて、正しいメンテナンスが求められます。
そう、まるで昔のスポーツ医学にように・・・。
JOY君もサッカープレーヤーだったので知っていると思いますが、優秀な選手は身体の柔軟性がありますよね。
しかし、その昔、運動能力は筋力に比例すると考えられ、何しろ筋トレが中心でした。
今は違います。
筋肉の動きは『縮む』という一方向性しか存在しないことがわかっていますから、硬くて動かない筋肉では、筋力はもちろん瞬発力やスタミナもつけることができません。
したがって、筋肉の柔軟を獲得し、その後、適切な筋力アップによって、運動性能は劇的に向上します。
喉も同じです。
発声は、声帯を含め、筋肉によって成り立っています。
喉周囲の筋肉が硬いと、思い通りの声はでません。
とくに、大きな甲状軟骨(のどぼとけ)のひとは、支えるのが大変なのか、硬くなりやすい傾向にあります。
JOY君も、立派で形状の優れた甲状軟骨ですから、硬くなりやすいかもしれません。
それによって、歌唱能力低下だけでなく、詰まる感じやスタミナ不足も現れてきますね。

JOY
そうなんですよ。
朝は何となく喉が奥に入って詰まる感覚があるし、午後からは声の質が落ちてしまいます。

會田茂樹
やはりそうですよね。

JOY
會田先生、甲状軟骨って、この出っ張った骨ですよね。
じゃあ、声帯って、どこにありますか?

會田茂樹
なるほど。
実は、多くの歌の指導者やボイストレーナーに出会っていますが、外皮から声帯の場所を正確に、それも理由を述べて、当てたひとはいません。
みんな、声帯は重要と言いつつ、何も知らないのです。
今日は、その場所を覚えてください。
まず、JOY君がおっしゃった骨は、実は骨ではなく軟骨です。
軟骨は、読んで字のごとく、軟らかい骨ですが、分類としては筋肉と同じ軟部組織なのです。
幼少期は本当にペコペコするほどなのですが、加齢と共に、じょじょに骨化現象を起こして硬くなっていきます。
また、名前の由来ですが、甲状軟骨の甲は、カメの甲羅に似ているから甲状となったと聞きます。
甲状軟骨は、声帯を入れるケースと、共鳴腔(響く場所:ピアノでたとえるなら外枠のケース)の役目があります。
さて、声帯の正確な場所です。
JOY君は、声帯がどこにあると思いますか?
指でさしてください。

JOY
ここです・・・、か?
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會田茂樹
残念ながら、違います。
声帯は、甲状軟骨の喉頭隆起と最下部の二等分上の正中に位置しています。
実は、この部分です。
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JOY
なるほど。
やっぱり違っていましたね。

會田茂樹
そして、長さが・・・、このくらいでしょうか。
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JOY
えっ、こんなに小さいのですか・・・(絶句)
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會田茂樹
そうなんです。
耳鼻咽喉科の喉頭ファイバーで声帯を見た経験があるかもしれませんが、その映像は、カメラが声帯の直近まで寄って映しているため、大きく見えます。
当サロンスタッフの声帯写真(喉頭ファイバーカメラの写真)を掲げてみましょう。
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画面の大半が声帯ですから、大きいものだと思い込んでしまいますね。
しかし実際は、JOY君の喉に、私の指でさし示した程度なのです。
模型で確認しましょう。
次の喉頭模型は、ドイツの3B Scientific GmbH社のもので、平均的な成人男子の大きさをしています。
甲状軟骨を真ん中で縦に割った様子で、中央あたりに横たわるヒダが声帯です。
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ドイツ人はゲルマン系の民族が多く、成人男性の平均身長が180㎝あります。
JOY君も高身長ですが、この模型の声帯の長さを実際に測ってみると、たったの1㎝8㎜でした。(緑横線の長さですが、当模型の実測値であり、ドイツ成人男性の声帯長の平均値を示しているものではありません。念のため・・・)
そして、実に小さいのですが、声のために休むことなく奮闘しているのです。
たとえば、音階でラ音を発したとき、これは440Hzですから、つまり1秒間に440回も振動していることになります。
音階と周波数の関係になり、高い音になるほど振動の回数は増えます。
1秒間に440回ですから、もし1時間も歌い続ければ、1時間=3600秒×440回=1584000回に達します。(もちろん、まったく休まずラ音で1時間歌うのは不可能ですが・・・)
とても、がんばり屋なのです。
また、声帯は、もともと声のためでなく、そこから先に異物や水が入らないための防御的肉壁ではないかといわれています。
そして、この声帯の主に前三分の二ほどが発声の役割を担っています。
難しい医学表現で言うと、声帯前連合から声帯突起までの間です。
そう、声帯の全部を使い切っているわけではないのです。
このことも、多くのひとは知りません。
正しい場所と機能を知ると、イメージも湧きやすいはずです。
それによって、歌のテクニックにも好影響だと思います。
ますます、良い声になって、さらに活躍してくださいね。

JOY
はい、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。




ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-04-20 00:32