喉をあける = 喉筋に柔軟性がある


歌唱の指導でよく「喉をあけなさい」と言われます。
喉をあける 【開ける】 とは、いったいフィジカル(身体)ではどのような状態なのでしょう?
まず、どの部分を指しているのか?
あまりに抽象的な表現ゆえ、困ってしまいます。
そこで最初に、喉の位置を確認しましょう。
単純に 『喉』 と言う場合、二つの定義があります。
一つは声帯などを含む内部、もう一つは、甲状軟骨やその周辺の筋肉を含める外部です。
これらを内喉頭と外喉頭と呼び分けましょう。
さて、声楽教師やボイストレーナー達に「喉をあけた状態」を見せていただきました。
なるほど・・・
思ったとおりでした。
その様子を記述すると
①舌骨が前方に移動
②甲状軟骨がやや下方に移動
③軟口蓋が高い
④舌奥が若干下がっている
でしょうか。
これが「喉があいた状態」です。
この四つが同時に成り立っています。
そして、この四つが同時に成り立つ重要な条件が一つあります。
それは 「喉筋に柔軟性がある」 ことです。
この条件が満たされなければ、決して同時に成り立ちません。
これら喉筋には、頚部表層舌骨下部筋 (胸骨舌骨筋・肩甲舌骨筋・胸骨甲状筋・甲状舌骨筋)、頚部表層舌骨上筋(オトガイ舌骨筋・顎舌骨筋・茎突舌骨筋・顎二腹筋)、喉頭内在筋、(輪状甲状筋・後輪状披裂筋・外側輪状披裂筋・斜披裂筋・横披裂筋・甲状披裂筋など)、咽頭筋(咽頭収縮筋・茎突咽頭筋など)があります。
したがって、場所的には主に外喉頭ですね。
喉をあける行為は、イメージや感覚の産物ではなく、実存の運動結果に帰着します。


喉をあけなさい
答えは簡単。
喉をあける = 喉筋に柔軟性がある




ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




追記1:喉をあけたときの内喉頭の状態は?
声帯振動が軽やかで、披裂軟骨の運動性がスムーズ、喉頭蓋もしっかり立って梨状陥凹の空間も非常に大きい・・・。そのような発声のとき、喉頭ファイバーで撮った写真を加工して以下に供覧します。(日本人男性)
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追記2:喉をあける情報に関してもう一つ。本文で綴った筋肉たちは、甲状軟骨を前方に出す運動を担っていません。簡単に言いましょう。喉は、締まる方向の筋肉は存在しますが、喉を前に出すための筋肉は存在しないのです。そう、喉周囲に柔軟性がなければ、喉はあかないのですよ!


《日本の声楽の歌手》
発声、特に声楽やオペラの医科学は、カーレースの運転者に似ています。
誰よりも早く走り抜け、優勝したり観衆を魅了したりするのが目的。
自分の運転するマシンの性能や状態を、知っていたほうが良いのか悪いのか?
この問いに合致します。
ごく稀な天才ドライバーなら 「ぼくは天才だから、ハンドルとアクセルとブレーキさえあれば、どんな車でもへっちゃらさ」 と豪語するかもしれません。
しかし、一般的には 「このマシンは右カーブに強いが左にはクセがある」 とか 「雨が降った場合のタイヤのスピードリミットは・・・」 との情報を知っていたほうが戦いやすいはずです。
発声は、楽器とスポーツの要素をあわせ持っています。
「せっかく素晴らしい楽器 (喉頭の大きさや形状) を持っているのに、使いきっていない。もったいないなぁ」 と感じる日本の歌手が多いこと多いこと。



~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-03-09 00:32