ホセ・カレーラスの唇 (くちびる)


3大テノールの一人、ホセ・カレーラス。
それほど大きくない身体を十二分に使いきって、官能的で素晴らしい声を出してきます。
うっとりするほど甘く、それでいて正確無比な描写力を兼ね備えた、稀有な大歌手です。
若いころも良かったのですが、白血病の死の淵から蘇ってからは、希望の中に生きることのはかなさを感じさせる声になっています。
とはいえ、カレーラスも人間。
喉の中に、高級オーディオなど入っていません。
すべて、声帯を含む、筋肉で作られます。
彼の超一流である身体的発声の特徴は、わたしのわかる範囲で、5つあります。
その中で、今回は唇 (くちびる) に焦点を当てます。
唇の重要性は繰り返し述べてきました。
以下が作画したカレーラスの口です。

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唇が前にせり出し、歯と歯茎からも離れています。
そして、ここがポイントです。
その動きを確実に行うために、彼は唇を動かすための筋肉以外の表情筋も使っているのです。
唇を動かすには、上唇挙筋・口角挙筋・頬骨筋・笑筋・下唇下制筋・口角下制筋・オトガイ筋・口輪筋・頬筋などを駆使します。
それらの筋肉が複合的に動き、唇をさまざまな形にします。
これは誰でもやっていることです。
しかし、カレーラスは、さらに舌骨上筋群・鼻中隔下制筋・鼻筋・鼻根筋・皺眉筋を同時に稼働させていたのです。
歌唱時、彼の顔が大きく映った画像で確認してください。
おもしろいほど・・・、本当におもしろいほど、顔の筋肉が動いています。
そう、唇を有効に動かすために、鼻や眉 (まゆ) がダンスします!
これによって、美しい音を調整してきます。
けれども、本人は気付いていないでしょうね。
簡単にまねはできませんが、参考になれば幸いです。
残りの4つは、追々ご報告できればと存じます。




ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




追記1:声色の感想は會田茂樹の独自の感覚ですが、唇 (くちびる) を含む各部位の筋肉の動きは、まぎれもなく事実なのですよ!
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追記2:その他のオペラ歌手、ドミンゴやマリア・カラスに関する報告も載っています。検索でお探しください。





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-02-02 19:36