痙攣性発声障害とカイロ (懐炉)


歌手やTV局アナウンサーの喉頭には熱すぎるカイロは必要ないことをお伝えしました。
それでは痙攣性発声障害の方にはどうでしょう?
実は、試してもらった結果、二つのパターンがあることが判明しました。
①筋肉が弛緩し過ぎて発声能力が低下する
ケース1:初音のみ詰まっていた人がカイロでしっかり温めた後に、全音が詰まるようになり、声も小さくなってしまいました。
ケース2:カイロで温めた後は、声に力が無くなり、かすれがひどくなった(嗄声の増悪)。
②痙攣が止まった
ケース:喉全体を温めたら筋肉がゆるんで話し辛くなったが、痙攣している部分を正確に探し出してピンポイントで小さなカイロを張り付けたところ、完全に詰まった発声が解消した。
これらから考察するに、筋肉を積極的に温めることで、痙攣する筋肉や過緊張の部位には効果があるものの、その他の正常な発声関連筋には逆効果となってしまうことが予想できます。
すなわち、痙攣する筋肉のみ正しく加温すれば、ボトックスのような効果が期待できる場合もあるのです。
なお、その温めた筋肉が冷えるにしたがって、元の詰まりが出現するため、恒久的かつ絶対的な対処には至らないことも付記しなければなりません・・・
現在、喉頭のどの部分が痙攣ならびに過緊張するか、さらにどの程度の温度を何時間続ければよいのかなど、喉頭Mapと指標の作成が急がれます。
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ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)



追記1:大学病院などで、SDではなく音声振戦症と診断された方々も同様に試したところ、温めるよりアイシングしたときに震えが減少し、本人感覚でも話し易くなった結果を得ました。ただし、先端の小さなアイスクリッカーを用い、正確無比なピンポイントの実施が必須です。またターゲットの筋肉状態(皮膚からの深さや筋腹の厚みなど)によって冷却時間を適切に計ることも重要です。そして効果があっても瞬時で、すぐに震えが戻ってしまいます。それでも久しぶりの正常発声を喜んでいただくことができ、私も嬉しく思います。



追記2:痙攣性発声障害や音声振戦症に対する加温や冷却は非侵襲ゆえ、誰でもできる手軽な処置と言えます。しかしながら部位や温度の正確さが要求されますから、簡単でないことも明らかです。また軟部組織の曖昧さと個人差が絡み合って全員が一様の結果には至りません。まだまだ研究不足ですね。不眠不休でさらなる探究を重ねます。(侵襲とは、手術や薬剤投与の行為によって、生体内に変化をもたらすことを指します。非侵襲ですから、その逆に影響が少ないことを意味します)





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2009-11-24 03:13