真の高音


高音発声に必須の輪状甲状筋。
最近では多くの人が知っています。
そして、この筋肉が正しく動く必要条件が 『喉頭の柔軟性』 。
これも理解できる感性豊かかつ優秀な人が増えてきました。
ところが輪状甲状筋だけで高音を目指すとどのような音になるか知っていますか?
某病院で甲状軟骨形成術Ⅳ型を受けた患者様が来ました。
この方は切実な理由があって高音を求めていたのです。
それは性同一性障害 (GID:M to F) です。
つまり男性の喉で、女性の声(高音)を欲したのです。
甲状軟骨形成術Ⅳ型は、輪状軟骨と甲状軟骨を前縁の距離を縮めて糸またはチタンブリッジで留めるものです。
これによって輪状甲状関節が屈曲し、声帯が伸長します。
声帯がピンと張られるため高音が可能になります。
これまで一色先生の手術に立ち会って数多くの手術を見学してきました。
この手術は、他の手術に比べると、複雑な範疇には入らないでしょう。
しかし、思うに、この手術はある意味難しいと感じています。
おおまかな作業工程は簡単です。
局所麻酔で行われ、痛みも出血も少ないため、どんな医師でもできることはできます。
しかし思った高音を出すには相応の経験と耳が必要です。
この条件を満たす手術医は、日本に数名しかいません。
もし、いい加減な手術に終わった場合はどうなるのでしょう?
ここに真の高音の答えがあったのです。
実は、不出来な甲状軟骨形成術Ⅳ型を受けた後、思う高音が出ないため、困り果てて当サロンにお越しになった患者さんがいます。
手術によって確かに声は高くなりますが・・・
つまらない音になっていました。
特徴として、①平坦な音、②声がか細い、③響きがない、④艶がない、⑤音程の変化が不可能などです。
これでは機械がしゃべっている感じです。 (実際に不出来な術後の声で困っている患者さんの主な特徴)
いくら高音が欲しいと言っても、このような駄音では人を惹きつけることはできません。
多くの人が高音を綺麗に歌いたいと願っています。
もし高音発声を目指すなら、美しく人を魅了する高音を得てください。
ポイントは二つ。
一つは、輪状甲状筋の活躍と同程度に共鳴腔 (喉頭室・梨状陥凹・咽頭・口腔) の構築を重要視してください。
バイオリンで考えられるように、弦よりも胴の出来が鍵となるのです。
ストラディバリウスの最高傑作ハンメルは約4億円もします。
では弦や弓が2億円もするのでしょうか?
やはり胴に意味を持ち、その部分が高額なのです。
共鳴腔は高音の音色を豊かにします。
中でも喉頭蓋と軟口蓋に注目しましょう。
この二か所を自在に使いこなしたら・・・、誰からも驚かれる極上の高音が可能になります。
積み重なる討究や実験でケアやトレーニング方法もわかってきました。
二つ目は、高音に低音を混ぜて音に奥行きや深みをつけることです。
これを遂行した最高の歌手が美空ひばりさんです。
彼女の歌声は、高いのか低いのかわからなくなることがあります。
この瞬間、聞き手は魅了され彼女の歌世界にのめりこんでいくのです。
若干意味が異なりますが声の和音とでも言いましょうか。
声の和音が完成されている人の喉状態は判明しています。
ただし、それを100%確実に作り上げる方策が研究段階です。
まだまだ勉強しなければと日々活を入れています。

高音を求めるなら、真の高音を手に入れてください!

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ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)



追記1:通常の会話声にも高音と中音と低音を混ぜてください。そう、ピアノを弾く際の和音のように・・・。高い声を出すときには、ピッチの高い部分を強調して低音の要素を含ませる。逆に、低い声を出すときには、低い音の中に高音の輝きのファクターを混入させてください。そうすれば、 「良い声しているなぁ!」 「ステキな声ですね!」 「セクシーな声だ!」 「引き込まれるような甘い声・・・」 など高評価は間違いありません。通常の声に、メロディとリズムが添加されれば“歌”になるのですから。だから歌は特別なものではありません。最高に整っ喉状態に、息を流して心を込めれば、極上の歌になるだけの話です。仕組みは簡単なのです。あなたも他者を魅了する声を出してくださいね。



追記2:なぜ、甲状軟骨形成術Ⅳ型で高音の質が悪くなるのでしょう? それは、術中に声帯テンションを張って高音を確認していきますが、患者さんの要求に応じて過伸長しすぎになるからです。優秀な手術医は、術中の腫脹時と術後の腫脹軽減時の差異を的確に判断して最適なテンションを与えることができるのです。さらに有能になると、糸の特性を利用して弛緩度合いを勘案してピッチのコントロール性も確保できます。この二つ目の技を持つのは、一色信彦先生がトップです。やはり経験と耳が絶対です!



追記3:「輪状甲状筋を鍛えるにはどうすればよいですか?」 と質問を受けます。本当に多くいただきます。輪状甲状筋がしっかり活躍しているかどうかは触診すれば一発でわかります。それは一般生理学になりますが 「筋力は筋腹の横断面積に比例する」 法則があるからです。つまり触診で輪状甲状筋の発達具合を調べれば簡単です。実際、多くの人々の輪状甲状筋は薄く脆弱です。トップアーチストのそれを触ると、筋肉が太くプリプリ躍動感があります。ときに垂部と斜部が判別できます。しかし筋腹が薄い人はペラペラで、すぐ下にある甲状軟骨輪状軟骨間隙が触れます。そして筋腹の薄い人のほとんどが喉頭周辺筋を硬くしています。さらに、その中の多くが輪状甲状関節が動いていません。なんと他動的に強いても屈曲しないのです。この状態では筋力をつけることはできません。本来は、通常の会話声程度でも、しっかり輪状甲状筋を使いきっていれば自ずと筋力はついてきます。もっと正確かつ強靭な筋肉を求めるなら喉頭専用低周波や輪状甲状筋負荷運動があります。したがって、鍛える前に輪状甲状関節が動く環境にあるかを確認してください。
★ 90度以上伸びない膝(ひざ)関節の状態で、大腿(もも)の筋肉が鍛えられると本気で思いますか???



追記4:「高音で歌うと喉詰めで硬くなってしまいます。喉が硬いのは病気ですか?」 この質問も多くありますね。答えは 「いいえ、病気ではありません。体が硬いのと同じ意味内容です。筋肉の癖と言っても過言ではありません。なぜ、そうなるのか厳密な原因はわかっていません。ある人は硬く、ある人は柔らかい。硬い人は声に不満を持つ傾向が多く、柔らかい人は美声や歌が上手い人が多いように感じます。喉頭の硬くなっている筋肉を探り出して的確にストレッチやマッサージをすれば改善は十分に可能です。ただし、個人差も大きいので即時に良くなるかどうかはわかっていません」 です。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。



 
by aida-voice | 2009-11-17 16:42