声が詰まる・喉が締まる


当サロンには「声が詰まる」「喉が締まる」症状を訴え来院する方が大勢います。
痙攣性発声障害・音声振戦症などの完全に詰まって初音が出なくなり声も聞き取り難い重症の方から、午後になると何となく詰まった感じが出てきてしゃべるのが億劫になる軽症の方まで。
後者が考えられるのは過緊張性発声です。
これも日常生活に困るほどの重い障害から、単に癖になっている軽いものまで様々です。
詰まる現象は喉頭周辺筋の筋緊張が主原因となります。
次に多いのが腫瘍や手術後の瘢痕などの圧迫による神経伝達阻害でしょうか。
どちらにせよ嫌な感覚です。(私も甲状腺腫瘍によってときどき詰まる感じや声がかすれます・・・)
詰まった声のとき、ノドや口はいったいどのような状態になっているのでしょう?
①下咽頭収縮筋がやたら硬くなっている
これは嚥下筋なのですが、恒常的に硬くしている人は発声し難い環境を構築しているため、詰まる症状が起きやすくなっています。輪状咽頭筋も同時に硬くなっているケースが多いものです。
②甲状軟骨の位置が深い
甲状軟骨翼が頚椎前面の間近に存在し、喉頭の自由に動くはずの空間が無くなっています。
③舌骨後端が中咽頭収縮筋に固着している
甲状軟骨より舌骨が大きいという特徴がある人に多く見受けられます。また仮説ですが、人によっては後端部が筋線維ではなく腱様線維で構成され固定率が高くなっている可能性も否定できません。
④舌骨の位置が高い
顎二腹筋を含む舌骨上筋群が緊張し、舌骨が押し上げられて舌の動きが緩慢になります。この場合の声は「平坦」「閉塞的」「輝きがない」「響きがない」「艶っぽくない」などが挙げられます。
⑤顎関節の動きが不十分
何らかの理由で顎関節がシンメトリーに開かず、開口不全に陥ります。完全開口でないため、構音する際に口腔および咽頭周辺筋に過度なストレスがかかります。
⑥呼気圧が少ない
病気(喘息や気管支炎)や漏斗胸で呼吸が苦しいとき、あるいは呼吸の仕方が下手な人(実は、このような人が意外に多いのです!)などは声門下圧が低いため声帯振動が上手くできず詰まる感覚を得ることもあります。

声が詰まって辛いときは、応急的に、次の二点を改善すれば楽になることが多いと存じます。
①下咽頭収縮筋をほぐす
 (筋断裂や神経損傷を引き起こさないよう十分な知識と経験を必要とします)
②肺活量を増やす
 (呼吸効率を改善することでも可)
つまり楽器、ここではトランペットで例えると、詰まって音が出難いのは、①マウスピースの管が細くなって空気が通り難くなっている、②吹きこむ息の量が少ない、に匹敵します。
そこでマウスピースの管を太くして空気を流れやすくし、吹きこむ息の量を増やすことで、正常に鳴らすことが可能になります。
これが人に当てはめたときの下咽頭収縮筋をほぐすことと肺活量を増やすことなのです。
食べ物が詰まってしまったり左右反回神経麻痺によって声帯が閉じ過ぎて息が出来なくなったりすると命にかかわってきますが、何となく「声が詰まる」場合は原因を正確に見極め対処すれば、改善の可能性を見つけることができます。
お大事になさってください・・・

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ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)



追記:なお、声が詰まることの無い人が、さらなる下咽頭収縮筋の柔軟性を獲得し、呼気効率が向上すれば、『発声力』が劇的にアップすることは間違いありません。



~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2009-11-09 23:19