輪状甲状筋の肉離れ!


ある来院者様のお話です。
大音量の高音発声練習を繰り返していたところ、のど仏の辺りで「チクッ」と小さな違和感が走り、その瞬間から高音が出なくなりました。
通常の会話声は可能で、痛みもないため、そのままにしていました。
ところが何度試しても、以前出ていた高音が出ません。
数ヵ月後、無理やり頑張れば多少の高音は出るようになってきましたが、裏声がかすれて出ません。
音声専門の病院で精密検査しても「声帯は大丈夫です」だけでした。
そして当サロンに来ました。

検査結果
繊細な触診で右輪状甲状筋に小さな筋瘢痕を触知
右輪状甲状筋(斜部)の筋腹圧低下
右輪状甲状関節の可動不全を確認

これらから推察すると右輪状甲状筋が微細な肉離れを起こし、その創からの内出血が瘢痕様に残ってしまい、正常な筋運動を阻害していると思われます。




改善方法はスポーツ障害の肉離れや筋断裂と同じです。

受傷直後
①患部および周囲の安静(声を出さない)
②受傷部位の冷却(アイシングが効果的だが冷シップでも可)
③小さなスポンジをテープで留めて軽く圧迫

1週間以上経過したとき
①物療(超音波・のど専用低周波・温熱療法など)
②瘢痕防止マッサージ
③関節可動域改善ストレッチング(2種)




素早い対処で予後(声が元の戻るまでの期間を含む)が大きく変わります。
なお、声を張った発声時にも同様の症例を確認していますので、声の乱用には十分注意してください。
損傷してからでは遅いのですよ・・・
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ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




追記1:大きな声を出しすぎたり高音を出しすぎたりして、高い声が出にくくなったり声が張れなくなったりした場合は、輪状甲状筋の肉離れの可能性があります。必ず検査して早く治してくださいね。



追記2:また、風邪による喉の痛みと混同しやすいので気をつけましょう。なお、ごく稀ですが、無痛損傷の人も存在しましたのでお気をつけください。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2009-09-22 11:15