輪状甲状筋は高音のヒーロー


周知の事実ですが、滑らかで聴き心地の良い高音は輪状甲状筋のおかげです。
そして輪状甲状筋が動くには条件があります。
①輪状甲状関節の可動が正常であること
②輪状咽頭筋および下・中咽頭収縮筋に柔軟性があること
③発声の瞬間に肩甲舌骨筋が過剰収縮しないこと
この3つが完全にクリアされた状態のときに輪状甲状筋は活躍します。
輪状甲状筋は垂部と斜部の二腹にわかれ、垂部はヒンジ運動を、斜部はスライド運動を担っています。
繊細な触診をすると、皮下の広頚筋・脂肪組織・胸骨舌骨筋・甲状腺を経て両腹を触れることができます。
高音をきれいに出せる人は筋腹がしっかりしています。
逆に筋腹が薄い人は正しい高音を出していないことになります。
それでは垂部と斜部のどちらが大切なのでしょうか?
構造的に考えると斜部のほうが運動域範囲が大きいゆえ大切なのではと思います。
斜部は垂部の下に位置し触診が非常に難しい場所です・・・
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これまで声を職業にしている人の喉を診てきました。
また、それ以外の一般の方々の喉も多く触診検査してきました。
実際、その大多数の人の輪状甲状筋は未発達なのです。
原因のメインが①と②です。
③も少なからずいます。
特に③は、喉頭ポジションが深奥タイプになってしまい輪状甲状関節の動きを阻害しています。
輪状甲状筋の活性化には最新施術法である『輪状甲状筋ローリングテクニック』が絶大な効果を呈します。
これは輪状甲状筋の垂部と斜部の両方を的確かつ正確に運動性能をアップさせます。
人によっては、ピッチがオクターブ単位で上がることがあります。
それは輪状甲状関節の可動域範囲が一気に広がるからです。
そう、使い切っていなかっただけなのです。
つまりギターの第6絃を外していたようなものですね。
キチンとはめて使えばよいのです。
ただこれだけです。
しかし、それに気付いていない人ばかりです。
第6絃を外したギターで必死に練習しても第6絃は元に戻りません。
ましてや1本足りない状態、つまり5絃で弾く能力やテクニックを養ってしまうと、小ぢんまりとした高音になってしまいます。
これでは他人を感動させる高音発声は不可能です。

素晴らしい高音のためにも、確実に輪状甲状筋を使いましょう。
まずは①②③を確認してください。




ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2009-07-19 11:50