低緊張性発声を解く


過緊張性発声に続発して低緊張発声を訴える人が多くいます。
声の乱用や喉頭疲弊が誘発要因となっていることに注目しています。
健常な喉頭筋の持ち主でも、筋運動ゆえ、確かに疲労はおこります。
その場合「何となく気だるい!?」「やや声がでにくい!?」程度にとどまります。
しかし、過緊張性発声後におこる低緊張性発声の場合は「声が出ない」「かすれる」「音が割れる」「音程が不安定になる」など大きな変化を呈します。



喉頭周辺筋状態の変化


胸骨舌骨筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 弛緩

甲状舌骨筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 やや弛緩(?)

肩甲舌骨筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 硬化(変化なし)

茎突咽頭筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 やや硬化?(個人差が大きい)

顎二腹筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 弛緩

顎舌骨筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 弛緩

オトガイ舌骨筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 多少弛緩

茎突舌骨筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 不明

甲状舌骨筋
過緊張発声時 不明
低緊張発声時 不明

後輪状披裂筋(一部)
過緊張発声時 検査不能(到達できないため)
低緊張発声時 硬化傾向に感じる(触診)

外側輪状披裂筋(一部)
過緊張発声時 検査不能(到達できないため)
低緊張発声時 検査不能(繊細な指先でも感知できない)

輪状甲状筋
過緊張発声時 脆弱&硬化
低緊張発声時 変化なし!

下咽頭収縮筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 硬化と弛緩の両方確認

輪状咽頭筋
過緊張発声時 硬化
低緊張発声時 硬化と若干の弛緩の両方確認


もちろん計測誤差および個人差はあると思いますが、これらを統合的に考察すれば、過緊張発声時は何がおこって低緊張発声時にはどのようになるのかが理解できますね。
耳鼻咽喉科で音声障害は認められなくても、歌唱時の喉詰め発声や声がすぐに疲れる方は、過緊張性発声の有無をチェックしてください。
なお、ここでの過緊張および低緊張は病的なものだけではなく、傾向発声も含みます。

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ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)



追記:1恒常的に低緊張発声の方もいます。この場合は重症筋無力症や線維筋痛症などの難病の可能性もあります。必ず専門医にご相談ください。当サロンには、このような病気で声が出辛い患者様も診ております。根本治癒には至りませんが、喉頭周辺の筋運動能力が向上し、発声が楽になります。



追記2:混合型に要注意です。緊張と弛緩が原因や脈絡もなくコロコロ変化し過ぎる人は、過緊張性発声に喉頭周辺筋バランス異常が併発している可能性があります。早期に治していかなければ、正常運動を忘れてしまい、改善に長大な時間がかかります。



追記3:痙攣性発声障害(SD)の患者様は概ね過緊張を呈していますが、実は低緊張に陥る要素も持っています。それは、1年以上の病歴のある方を初診で施術を受けて筋肉に柔軟性を与えると、ある人は驚くほど発声しやすくなり、ある人は筋弛緩でノドに力が入らず声がかすれてしまう人がいるのです。つまり、即時に低緊張になってしまう可能もあるといえますね。そう、この作用を上手く利用すれば、痙攣性発声障害の症状改善の正しい方向性も見えてくるわけです!



追記4:実は、音声振戦症の患者様はこの結果が当てはまっていません。もしかすると痙攣性と震顫性の違いでしょうか・・・。肩甲舌骨筋と茎突咽頭筋の筋伸度合いの対極バランスが崩れているのも特徴です。該当患者様には、施術時間内に検査しながら詳しく説明します。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2009-07-07 15:15